相続税申告後に税務署から電話や書面で連絡が来ると、『申告漏れが見つかったのでは』『すぐ追徴されるのでは』と不安になるかもしれません。しかし、連絡を受けた時点で申告誤りや追加納税が確定したわけではありません。
最初に行うのは、相手と用件を確認し、申告書や資料をそのまま保全し、申告を依頼した税理士へ共有することです。この記事では、所沢市で相続税の申告後に具体的な調査・確認連絡を受けた方へ、初動と準備を順番に解説します。
最初の電話で確認する6項目
- 税務署名、部署名、担当者の氏名
- 折り返し先と内線番号
- 対象となる被相続人と相続税申告
- 税務調査なのか、行政指導としての確認なのか
- 訪問・来署・電話回答など予定される方法
- 希望日時、場所、準備を求められた資料
その場で分からないことを推測して答える必要はありません。『申告書と資料を確認して折り返します』『税理士へ確認します』と伝え、日時と会話内容をメモします。暗証番号やパスワードを伝えたり、資料を書き換えたり廃棄したりしないでください。
税務職員を名乗る電話に不審な点がある場合は、即答を避けて所属部署・氏名・電話番号を聞き、いったん電話を切ります。相手から示された番号だけに頼らず、国税庁公式サイトに掲載された税務署の番号から確認してください。
税務調査と行政指導は区別して確認する
国税庁の事務運営指針では、税務署が調査または行政指導に当たる行為を行う際、どちらの事務として行うかを明示することとされています。電話や書面による確認がすべて実地の税務調査とは限りません。
税務調査では、職員が国税通則法上の質問検査権に基づいて質問し、帳簿書類その他の物件の提示・提出を求めることがあります。一方、行政指導は調査とは別の位置付けです。対応方法や後に修正申告をする場合の加算税の取扱いにも関わり得るため、連絡の名称だけで判断せず、担当者へ区分と用件を確認しましょう。税務調査だから直ちに申告漏れがあるという意味でもありません。
申告前の財産確認を振り返る場合は相続税の申告漏れを防ぐ財産チェック、申告要否を尋ねる文書との違いは「相続についてのお尋ね」が届いた場合をご覧ください。
事前通知と日程調整の考え方
実地の税務調査では、原則として開始日時・場所、調査目的、対象税目、対象期間、対象となる帳簿書類などが事前通知されます。ただし、法令上、事前通知を行わないことが認められる場合もあります。
指定された日に対応が難しいときは、仕事、通院、介護、資料準備、税理士の立会い調整など具体的な事情を早めに伝え、代替候補日を示して協議します。納税者の都合だけで一方的に延期できるとは限りません。連絡を放置せず、合理的な事情と準備に必要な期間を説明することが大切です。
申告を依頼した税理士へ早めに連絡する
税理士へ、税務署名、担当者名、連絡日時、調査か行政指導か、希望日、求められた資料を共有します。税務代理を依頼する場合は、委任する税目・年分・業務の範囲を確認し、必要に応じて税務代理権限証書を提出します。申告時に提出済みでも、今回の対応範囲や通知に関する記載を税理士に確認しましょう。
税理士は、申告書と根拠資料の点検、論点整理、税務署との連絡、調査への立会い、回答や修正申告の検討を支援できます。ただし、立会いを依頼すれば調査がなくなる、または追徴を避けられるという保証はありません。契約前に、対応範囲、報酬、資料の受渡方法を確認してください。税理士選びは相続税を依頼する税理士の選び方も参考になります。
税務調査前に準備したい資料
実際に必要な範囲は事案と税務署からの案内で異なります。まず次の資料の所在を確認し、提出済み資料との対応が分かるように整理します。
- 提出した相続税申告書、修正申告書、添付書類の控え
- 財産一覧、評価明細書、計算メモ
- 遺言書、遺産分割協議書、相続関係が分かる資料
- 預貯金の残高証明書、通帳、取引履歴
- 証券、保険金、死亡退職金に関する通知や契約資料
- 不動産の登記事項、固定資産税資料、賃貸借契約、評価資料
- 債務、葬式費用、生前贈与に関する資料
- 死亡前後の出金について日付・金額・使途が分かる記録
- 税務署から届いた書面と通話メモ
保存期間を一律に決め付けず、今回の調査対象と通知内容を踏まえて、税理士または税務署に必要範囲を確認します。原本と提出用コピーを分け、資料名・対象口座・対象期間を一覧にすると説明しやすくなります。
よく確認されやすい事項を事実から整理する
申告財産と金融機関資料の対応
申告書に記載した口座、残高、既経過利息、有価証券などが根拠資料と結び付くかを確認します。後から財産を見つけた場合は、隠さず税理士へ伝えてください。対応手順は申告後に財産が見つかった場合で解説しています。
家族名義の預金
口座名義だけで決めず、資金の出所、贈与の合意、通帳・印鑑の管理、名義人による使用状況を整理します。詳しくは名義預金の判断ポイントをご確認ください。
死亡前後の現金引き出し
出金があるだけで直ちに申告漏れとは限りません。医療費、生活費、葬式費用、贈与、手元現金など、実際の使途と死亡日時点の残額を資料から整理します。詳しくは相続前後の現金引き出しの確認方法をご覧ください。
調査当日の基本姿勢
- 質問を最後まで聞き、事実と記憶を分けて答える
- 分からないことは推測せず、資料を確認して後日回答する
- 求められた資料の名称と範囲を記録する
- 原本を預ける場合は、対象資料と返却予定を確認する
- 新しい論点や未提出資料が出たら税理士と共有する
質問検査権に基づく調査には適切に対応する必要がありますが、質問の趣旨や提出範囲が分からないときは確認して構いません。税理士が立ち会う場合も、財産の管理状況など本人や家族にしか分からない事実は、事前に整理しておきましょう。
追加納税・延滞税・加算税は連絡時点では未確定
税務署から連絡が来ただけで追徴税額が確定するわけではありません。調査や確認の結果、申告内容に問題がない場合もあれば、修正申告の勧奨や更正などにつながる場合もあります。指摘を受けたら、事実関係、評価方法、法令上の根拠、税額計算を確認します。
追加納税が生じる場合、延滞税や過少申告加算税などが課されることがあります。ただし、その有無や割合は、調査通知・更正予知との関係、修正時期、申告内容、隠蔽・仮装の有無などで異なります。本記事では個別税率を固定して案内しません。説明を受けたその場で結論を急がず、税理士と内容を検討してください。
よくあるご質問
税務署から電話が来たら、税務調査は確定ですか?
電話による連絡がすべて税務調査とは限りません。行政指導としての確認もあるため、担当者へどちらの区分か確認してください。
提示された調査日を変更できますか?
仕事、通院、介護、税理士との調整など合理的な事情がある場合は、早めに事情と候補日を伝えて協議します。一方的に延期できるとは限らず、放置は避けてください。
税理士に立ち会ってもらえますか?
税務代理の依頼内容や税務代理権限証書を確認した上で、税理士へ立会いを依頼できます。対応可否、範囲、報酬は事前に確認しましょう。
連絡が来た時点で追徴税額は決まっていますか?
決まっていません。調査・確認、事実認定、評価や税額計算を経て判断されます。延滞税や加算税も個別事情によって異なります。
昔の通帳が見つからない場合はどうしますか?
不足している資料と確認済みの範囲を一覧にし、金融機関で取得できる資料や代替資料を税理士と検討します。推測した数字を確定事項として答えないようにします。
まとめ
相続税の税務調査連絡を受けたら、まず相手の所属・氏名と用件を確認し、税務調査か行政指導かを確かめます。次に、申告を依頼した税理士へ連絡し、資料を改変せず整理し、日程や立会いを調整します。連絡時点で申告漏れや追徴が決まったわけではありません。
田代直人税理士事務所では、所沢市を中心に、相続税申告後の税務署対応や税務調査に関するご相談を承っています。税務署からの書面、通話メモ、申告書控えをお手元に、お問い合わせフォームからご相談ください。
監修:税理士 田代直人/最終確認日:2026年10月7日。税務調査の手続、必要資料、税負担は個別事情により異なります。最新の公表資料と具体的な通知内容をご確認ください。







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