所沢市で相続税申告をする方へ|名義預金の判断ポイントと確認…

ブログ

亡くなった方の書類を整理していると、配偶者や子、孫の名義になっている通帳が見つかることがあります。このような預金について、『家族名義だから相続財産ではない』または『家族名義ならすべて相続財産だ』と、名義だけで判断することはできません。

誰がお金を出したのか、誰が口座を管理・使用していたのか、名義人への贈与が成立していたのかなど、実際の状況を総合して確認します。この記事では、所沢市で相続税申告を準備している方に向けて、名義預金の基本的な考え方を整理します。

名義預金とは

『名義預金』は法律上の預金商品名ではなく、一般に、口座の名義人と実質的な所有者が異なると考えられる預金を説明する実務上の呼び方です。

たとえば、親が自分の収入から子名義の口座へ入金し、親が通帳やカードを管理し、子が口座の存在を知らず自由に使えなかった場合には、実質的に親へ帰属する財産ではないかを確認します。

ただし、この例に当てはまる要素が一つあるだけで、自動的に名義預金と決まるわけではありません。配偶者・子・孫など、名義人との関係にかかわらず、個別の事実を確認します。

口座名義ではなく実態を確認する理由

国税庁の資料でも、名義は家族であっても、被相続人が資金を出したことなどから被相続人の財産と認められる預貯金は、相続財産として申告する必要があると案内されています。

反対に、名義人自身の給与や年金、すでに成立した贈与などを原資とし、名義人本人が管理・利用していた財産まで、一律に被相続人の財産となるわけではありません。一つの口座に複数人の資金が混在している場合もあるため、入出金の経緯を整理します。

名義預金かどうかを考える主な5項目

1.資金を出した人

口座への入金が、誰の給与、年金、不動産収入、資産の売却代金などから行われたのかを確認します。被相続人本人の口座から継続的に振り替えられていないかも手掛かりになります。

2.口座開設の経緯

誰が口座開設の手続きを行い、名義人は口座の存在や残高を認識していたのかを確認します。

3.管理・操作していた人

通帳、届出印、キャッシュカード、オンライン口座の認証手段などを、誰が保管・操作していたのかを整理します。ただし、入院や高齢などを理由に家族が代理管理していた場合もあるため、管理者だけで所有者を決めることはできません。

4.実際に利用していた人

預金の払戻しや利息を誰が受け取り、何のために使用していたのかを確認します。生活費として預けられた資金なのか、貯蓄として管理されていたのかなど、利用目的も重要です。

5.贈与の意思と受領

贈与は、贈る人が無償で財産を与える意思を示し、受け取る人が受諾することで成立します。双方に贈与の認識があり、名義人がその預金を管理・処分できる状態だったかを確認します。

どれか一項目だけで結論を出さず、複数の事情と資料を合わせて検討します。

相続税申告について無料相談する

家族名義口座でよく確認するケース

子や孫のために積み立てていた

親が将来のために子や孫名義の口座へ積み立て、通帳を親が保管していた場合です。資金の出所、贈与についての双方の認識、名義人が使用できたかを確認します。

配偶者名義の生活費口座に貯蓄が残っている

亡くなった方の収入を配偶者名義の口座へ移し、生活費の支払いと貯蓄が混在している場合です。結婚生活中の預金だから自動的に半分ずつになる、といった判断はせず、入出金と管理状況を確認します。

名義人自身の収入と親からの入金が混在している

子の給与口座へ親からの資金も入っている場合などです。口座全体を一律に判断せず、それぞれの入金元と使用状況を可能な範囲で分けて整理します。

生前贈与された預金との違い

親が子名義の口座へ入金したという事実だけでは、贈与が成立していたかを確定できません。贈与する意思と受け取る意思、資金移動、口座の管理・使用状況などを確認します。

贈与契約書、贈与税申告書、当時のやり取りは重要な判断資料です。ただし、書類が一つある、またはないという理由だけで、贈与の成立・不成立が必ず決まるわけではありません。後から事実と異なる契約書を作るのではなく、当時の記録をそのまま整理してください。

年間の贈与額が基礎控除以下であることと、贈与が成立して財産が名義人へ移ったかどうかは別の問題です。『毎年110万円以下だから名義預金ではない』とは判断できません。

申告前に確認したい資料

  • 家族名義口座の通帳、残高証明書、必要に応じた取引履歴
  • 入金元となった被相続人・名義人の口座記録
  • 口座開設の経緯が分かる資料
  • 通帳、印鑑、カードなどの管理状況に関するメモ
  • 名義人の給与・年金などの収入資料
  • 贈与契約書、贈与税申告書の控え、当時のやり取り
  • 生活費や学費などに使用した記録
  • 誰が口座を知り、管理・使用していたかの時系列メモ

必要な確認期間は事案によって異なります。通帳が見つからない場合は、金融機関へ残高証明書や取引履歴を請求できるか確認してください。すべてそろうまで待たず、取得できる範囲から整理できます。

家族で確認するときの進め方

  1. 家族名義口座を、金融機関・名義人・残高・判明した経緯ごとに一覧化する
  2. 資金の出所が分かる入出金に印を付ける
  3. 管理者、保管場所、利用目的を名義人本人へ確認する
  4. 贈与資料や収入資料と照合する
  5. 分からない点は『不明』のまま税理士へ共有する

家族の責任を追及するためではなく、申告する財産の範囲を正しく整理するための確認です。相続人同士で合意しただけで税務上の帰属が決まるわけではないため、客観的な資料も合わせて確認します。

申告後に家族名義口座が見つかった場合

申告後に口座が見つかった場合は、そのままにせず、当初の申告書と口座資料を用意して税理士または所轄税務署へ早めに相談してください。

実質的に被相続人へ帰属し、相続財産への計上が漏れていた場合は、修正申告などが必要になることがあります。また、状況によって加算税や延滞税がかかる場合があります。名義預金に当たるか、税額が増えるかは個別に判断します。

税理士へ相談したいケース

  • 家族名義のまとまった預金が見つかった
  • 亡くなった方が家族名義口座の通帳などを管理していた
  • 生活費と貯蓄が一つの口座に混在している
  • 生前贈与のつもりだったが資料が少ない
  • 相続財産へ含める範囲について相続人の認識が異なる
  • 申告後に見つかった、または申告期限が近い

家族名義の預金が見つかったからといって、直ちに問題のある行為と決めつける必要はありません。申告前に資金の出所と管理の実態を確認すると整理しやすくなります。

よくあるご質問

子ども名義の預金はすべて相続財産ですか?

いいえ。資金の出所、贈与の経緯、管理・使用状況などを総合して判断します。

配偶者名義の生活費口座も名義預金ですか?

名義だけでは判断できません。誰が資金を出し、生活費としてどう使われ、残った預金を誰が管理していたのかを確認します。

贈与税申告書があれば必ず贈与と認められますか?

申告書は重要な資料ですが、それだけで預金の帰属が必ず決まるわけではありません。実際の資金移動と管理状況も確認します。

申告後に家族名義口座が見つかったらどうしますか?

当初申告と口座資料を準備し、修正申告の要否を早めに確認してください。

まとめ

名義預金に当たるかは口座名義だけでなく、資金の出所、贈与の事実、管理・運用、名義人の認識や利用状況などを総合して確認します。

田代直人税理士事務所では、所沢市を中心に、家族名義の預金を含む相続税申告の初回無料相談を承っています。資料がすべてそろっていない段階でも、お問い合わせフォームまたは電話(050-1809-4005)からご相談ください。

相続税申告について無料相談する

監修:税理士 田代直人/最終確認日:2026年9月6日。税制・取扱いは変更されることがあります。個別の財産帰属は具体的な事実と最新情報をご確認ください。

コメント